花パンとカレーうどん

 群馬県の桐生市からみどり市にかけた周辺に、花パンと呼ばれるお菓子がある。思い返せば、大間々のこまつ屋と長寿軒で買って食べたことがある。でも調べてみるとこれがいろいろな和菓子屋で出されているんだね。郷土の和菓子、となればどこの和菓子屋でも当たり前のように置いてあるのはごくごく自然なことなんだろう。

 それをいくつか買いまわって、食べ比べてみたくなった。


 それからカレーうどんである。

 先月、大間々のやまもと屋でカレーうどんが食べたいと車で立ち寄ったところ、運悪く閉まっていた。そのあとひもかわで有名な桐生のふる川へ行ったところ、いったいどれだけ待つのだろうというくらいの行列。さすがにあきらめてソースカツ丼を食べに行った。これはこれで美味しかったのだけど、そのときに店に入ってから発見した、大間々でカレーうどんを出す店が気になっていた。


 さて自転車をわざわざ10速から8速にコンポーネントを総入れ替えをするという愚行におよんでいるここのところ、8速でも使えていると耳にする9速用のクランクセットが高崎のサイクリーに手ごろな価格であることを発見した。程度はわからないけれど、ヤフオクよりも安く手に入りそうだし、見に行ってみたいと思っていた。


 それぞれの欲求はどれもとても小さくて、それひとつでは行動には移らないものばかりだった。ただこの三つがそろって、それならばと一日費やしてみることにした。


 まず高崎でクランクセットを入手し、桐生あるいは大間々へ移動、公園の駐車場など広いスペースでクランクセットとチェーンの交換をし、その試走として花パン買いまわリサイクリングとカレーうどんを食べようと考えた。
 クランクセットを手に入れ、無事交換を終えたのは前回記事 - GIOS GRESSの8速化(本末転倒)のとおりで、8速化コンプリートの自転車でまずは桐生市内をめぐることにした。

(桐生は坂と階段の街でもある)



 花パンを買いまわるなら、その梅の形が桐生天満宮の梅紋に由来すると聞き、まず桐生天満宮を訪れた。

 何度か訪れたことがある街なのに、この桐生天満宮はこれまで寄らずにいた。

 参道を歩き、お参りをする。

 そしてまた参道を戻る。紋章と同じ梅の花が咲き、骨董市が行われていたのだろうか、屋台の解体がほうぼうで行われていた。

(桐生天満宮)


 花パンは桐生市内や大間々(みどり市)の和菓子屋に行くとたいてい売られている。つまり多くの店でそれぞれ独自の花パンを作っているということ。桐生天満宮を出発した僕は、桐生市内近辺のいくつかの店に寄ってみる。

 そしてわざわざこのために、泊まリサイクリング用にと手に入れていた大容量サドルバッグ「FAIRWEATHER(フェアウェザー)」を付けてきた。


 有名な和菓子屋、ほんの小さな和菓子屋、そんなのが混在するから店と店をつなぐのは細い路地。大通りを走ってもまたすぐ路地に入り込む。そしてまた店の場所がわかりづらく、路地を右往左往することになる。でもこれが楽しくもある。家と家、塀と塀のあいだの車すら通れない道を抜けたり、道なのかドブ板なのかU字溝のふたなのか判然としないような道を通ったり。

 それぞれの店で、花パンをいただきたいのですが、と聞く。


(あら木)

(小松屋)

(日盛堂)

(若林)


(桐生の路地を走る)

 桐生は背に山を抱えた街だ。裏手の道を取ると10%以上もある細い坂道を上り下りまた上る。そこにも家々があり、街なかからつながる道は手すりと階段だった。坂は大変だけど桐生の街が一望、よく見える。



 大間々に行き、遅くなった昼食。目的のカレーうどんのために、目星をつけていたみやざきという店にやって来た。

 店内にはひと組の老夫婦。土曜の昼下がりのバラエティ番組が天井近くに置かれたテレビから流れている。

 カレーうどんを頼み、半分くらい食べてこれならいけるとわかってからご飯を追加で頼んだ。ご飯は、うどんをきれいに食べてからカレーのスープのなかに落とす。カレー雑炊ふうにして食べた。結果、うどんもご飯も、カレーのスープもなくなった。そして満腹はもう前傾姿勢が取れないほど。


(カレーうどん、みやざき)

 夕飯のことを考え始めたら、群馬の有名な鳥めし(お弁当)、登利平が思い浮かんだ。車に自転車を積んでもう一度桐生市内へ。桐生の登利平で鳥めしを買う。


(登利平)


 暖かめの春の一日。こんな一日の過ごし方もありだ。


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