ルート系サイトでの獲得標高の算出
ルート作成に、それまで使っていたルートラボをやめて、GPSiesを使うようになってずいぶんたった。ポイントしたときの自動ルーティングに微妙な違和感もあるけど、意識して使えば、自転車道もルーティングしてくれたり、ウェイポイントを設定し、それがそのままGarmin eTrexに取り込まれるので、とてもありがたく使っている。ときにはルートの情報よりも、食べもの屋の情報で旗を立てた(ウェイポイントを設定するとGarmin eTrexでは旗が立って見える)情報のほうが目立ってしまうほど。でもそんな使いかただってできるんだからとってもありがたいよね。
ただ前まえから不思議に思っていたもので、僕自身はそれほど気にしていなかったのだけど、「ねえこれは何でなのだろう」と聞かれることがあるのが獲得標高。どんなルートでもたいてい、GPSiesがルートラボの1.3から1.5倍くらいの数値を出すのだ。
根拠になるものは何もないのだけど、他もひっくるめてとりあえず比較をしてみようと思う。
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せっかくなので、ルートを引くのではなく、GPSログを使ってみることにした。これでどういう獲得標高が出るのか。題材として先日出かけた御坂峠、三国峠、明神峠へ出かけたときのものを使った。
早速そのログをルートラボとGPSiesにアップロードしてみた。するとルートラボが1,348m、GPSiesが1,858m、ほぼ思った通りの結果が出た。GPSiesがルートラボの1.38倍。感覚的に、いつも出てくるくらいの差だ。両者違うよなとは思っていたけれど、いつもこんなものだからそれほど意識はしたことがなかった。でも、「どっちを信じたらいいの?」と思う人は思うみたい。
これ、アップロードしたgpxファイルにある経路に刻まれた地点から、その場所の高度を取得して獲得標高を計算しているんだろうか。
そんなふうに思い、計画のときに手で引いて作ったGPSiesのルートを見てみた。ほとんど引いたとおりのルートを走ったのでそんなに差がないはず。そう思ってこの計画ルートと比較してみたところ、こちらはなんと1,985mだった。GPSログよりも130m近く多いんだ……。同じサービスのうえでなんの差だろう。不思議だ。
▼ ルートラボ
▼ GPSie(GPSログから)
▼ GPSie(計画時に引いたもの)
そもそもGPSログそのものにも標高が記録されている。gpxファイルの<ele>タグで設定された数値がそれ。これから手で計算してみた。1,496m、だった。
GPSログは水平精度に比べ垂直精度はきわめて低いことをWindowsソフトウェア「轍」の作者のかたが言っている。それに休憩し、写真を撮っているときも、天下茶屋に寄ってほうとうを食べたときもログは取られていて、捕捉しなおした衛星からいちいち導き出されるのか、細かく1、2mくらいの標高を何度も行ったり来たり、上下している。あぐらをかいて座っているわけだから本来動いてもいないのだけど、こういった誤差的数値もいったん、単純計算で加算したもの。
となるとどのサイトもGPSログとは合わないことがわかる。GPSログの標高は使っておらず、ルート(ログ)をポイントしていった時点で新たに自身の地図情報をもとに再計算しているのだろうか。
こうなったらほかにもアカウントを持っていてGPSログをアップロードできるところに上げて行ってみることにした。どれもほとんど使っておらず、アカウントだけ興味本位に取りました! ってだけのサイトである。
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じゃあまずその前に前述したWindowsソフトウェア「轍」だとどう出るか。こちらは1,362mだった。作者のかたが「獲得標高をできるだけ正確に出すため、非常にめんどくさいことをやっている」とブログで書かれているだけに、大いなる計算ロジックがあるのだろう。GPSログの<ele>から計算しているのかどうかはわからない。
そしてこの「轍」にはバージョンアップで、国土地理院の標高APIというサービスを利用し、10mメッシュを基準にした高精度の標高タイルで再計算をする「標高書き換え」機能が付いた。細かく読ませていただいたが、なんだかすごそう、なんだか正確そう、そう感じさせる強さがある。これで再計算させたところ、1,599mだった。
▼ Wadachi(ログ読み込み)
▼ Wadachi(国土地理院10mメッシュで再計算)
続いて、アスリート系の人たちが集うstrava。僕がこんなところのアカウント持ってたんだあ、と苦笑しつつファイルをアップロードしてみる。ここは1,775mだった。
▼ strava
それからGarmin Connect。おそらく今のeTrexを購入したときにアカウント登録したのだろう、メールアドレスが残っていた。ここにアップロードしてみると、2,097mだった。4サイトのなかで最大だった。
▼Garmin CONNECT
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どこかひとつくらいGPSログと合致してくれると、結論付けやすかったのだけど、こうなるともうよりどころがない。
とりあえず今日のところは単純に比較してみましたってところでおしまい。
なんの結論も出せずにすみません。
【各サイトにGPSログをアップした結果の比較(獲得標高の小さい順に)】
#, GPSサイト, 積算上昇量, 積算下降量
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1, ルートラボ, 1348, 1713
2, Wadachi(ログ読み込み), 1362, 1707
3, GPSログの標高から計算, 1496, 1865
4, Wadachi(国土地理院10mメッシュで再計算), 1599, 1968
5, strava, 1775, -
6, GPSies(GPSログから), 1858, 2229
7, GPSies(計画時に引いたもの), 1985, 2362
8, Garmin CONNECT, 2097, 2474
僕がもし、自分で参考にすることがあるなら、Wadachiを使った、国土地理院10mメッシュでの再計算かなあ。計算方法ともとになる値を示してくれてるのはこれだけだからね。
でもまあ今まで気にしていなかったのだから、参考にも気にもあまりしないと思うけどね。
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ところで──。
自転車乗りの人が獲得標高という言葉を誤って使っている、そしてけっこう多くの人が誤っているのだという指摘を登山をやる人が書いていた。僕らが使っている獲得標高は、正しくは累積標高と言うべきだそうだ。知らなかった。
獲得標高は全標高差の合計、つまり下りも引き算した値だそう。それってそうなると同じ駅発着だったり、同じ拠点発着だったりすると0mってことなのかな。
まあいい。多くの自転車乗りや、自転車メディアまで含めてそう言っているのだから、僕は「獲得標高」を使っていこうと思う。
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